「とんでもない死に方の科学」が思いのほか面白い。
人間はすべて死ぬ。
医療の発達した現代では、おおよそ死因はがんや、心疾患、肺炎、もしかしたら交通事故にあって早死にするかもしれないが実際自分が死ぬとしたら、その辺だと思うだろう。非常に妥当である。
しかし死への道はなにも病気や交通事故だけではない。
我々はあらゆる方法で我々自身を死に至らしめることができる。
バナナの皮を踏んでみたり、樽の中に入って滝から落ちてみたり。
にも拘わらず、私たちは、「ありがちな死因」しかどのような過程をたどって死に至るのかを知らない。これは本当にもったいないことである
し、私ははっきり言って書店で表紙を見たとき知的欲求が生まれた。
はい、買いました。
「とんでもない死に方の科学:もし○○したら、あなたはこう死ぬ」
とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ
- 作者: コーディー・キャシディー,ポール・ドハティー,梶山あゆみ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2018/06/07
- メディア: 単行本
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45の小項目にわかれ、それぞれ「もし、○○したらどう死ぬのか」を科学的に大真面目に書かれている。
「バナナの皮を踏んだら?」「はちの大軍に襲われたら?」などといった、人生の中でもしかしたら機会があるかもしれないものや、「生きたまま埋葬されたら?」「生贄として火山に投げこまれたら?」といった、おいおい!それは流石にないぜ!!??というものまで、これを大真面目に書いてあるんだから、こちらとしても大真面目に読むしかあるまい。
更にはタイムマシーンやブラックホールといった、これはそもそも十分に調べられていないだろ!!??といったものまで、ご丁寧に参考文献付きで解説されている。
この参考文献も非常に興味がそそられる内容になっていて、一冊で二度美味しい...。
常に堅苦しく書かれているわけではなく、大真面目な作者は時々私たちに助言をくれる。そう、死ぬしかないような状態で少しでも生存率をたかめるための助言だ。
参考になるかもしれないが、実生活で役に立つときが来るかと言えば、多分来ない。そもそも、緊迫した状況でこの本の知識を頭の片隅から取り出し、直ちに行動に移せるほど冷静ではいられない。
ただ話のネタにはなる。私が本書を読んで一番笑ったところはここだ。
三節:バナナの皮を踏んだら(引用)
逆のほうはというと、フローリングの床を靴下で滑ったら摩擦係数はたったの0.23。その上をいくのが氷で、スケートリンクをゴム底の靴で歩こうもんならなんとも無様なことになる。それもそのはず、氷上のゴムは摩擦係数が0.15しかない。転んで痛い目にあうのも無理はないだろう。 でもそれもこれも全部、バナナの前ではひれ伏すしかない。(中略)
その結果、漫画で痛い目をみる奴を「ドジで間抜け」呼ばわりしては気の毒だということがわかった。フローリング上のバナナの皮は、摩擦係数がわずか0.07なのである。
いや調べたんかい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
氷よりも滑るんかい!!!!!!!!!!!!!!!
もう、めちゃくちゃ心の中でウケさせていただきました。
バナナの皮は滑りやすいことは周知の事実ですが、実際にここまで明確に滑りやすさを示されてしまうと流石に笑ってしまいます。
と、このように可笑しくも実際に調べられていたことや、ありえないだろ!という状態に率先して自分を持って行った猛者たちも、この本を読むことで知ることができます。
いや、本当に面白いのでぜひ皆さん手に取って読んでみてください。